クラウドサービスに付加価値を
テクニカルディレクター 水上 勇人プレビューから正式版へ
クラウドサービスであるGoogle App Engineが、今年中にプレビュー版から正式版に移行することが先日発表されました。
- ※ Google App Engineはアプリケーションを構築するためのミドルウェアと開発環境をセットにしてインターネット経由で提供するクラウドサービス
以下で、その一部を引用して紹介します。
99.95%の可用性を謳ったService Level Agreementや運用サポート、開発サポート、ビジネスに適した新しい利用規約を提供することを意味します。
また、請求書でのお支払いが可能になったり、App Engineが提供する価値に見合った、新しくわかりやすい利用分に応じた課金体系への変更も同時に行います。
すでにビジネス向けのサービスが昨年発表されていましたが、上記移行に伴い企業で利用するケースがより増えてくるのではないでしょうか。
プレビュー版の利用で感じたこと
私たちがGoogle App Engineを体験して感じていることは以下の3つです。
- 便利なしくみがすぐに利用可能(クラウドサービスの醍醐味)
- サービスの仕様・制約を正しく理解することで、よりよい活用アイデアが出てくる
- 既存サービスや技術との組み合わせで、短期間で実現できることがある
最初の一歩として、以下の2つの特徴をもったアプリケーションをGoogle App Engineプラットフォームに設置しました。レスポンスタイムも非常によく、安定稼働しています。
- Google アナリティクスのサイトアクセス解析データをAPI経由で取得して加工し、Google App Engineのストレージに保管する
- サイトに設置する、コンテンツ表示用のJavaScriptからのデータ取得要求(月間40万PVのサイト)に対してJSONPで応答する
※Google アナリティクスは、Google社が無料で提供するWebサイトのアクセス解析サービス
これにより表現・実現できることは、サイト内の回遊性を向上させるコンテンツの生成と更新の全自動化です。
- サイト内コンテンツのPVランキングを作成する
- あわせて閲覧されているサイト内の他のページを紹介する
このアプリケーションは、昨年末にレコメンドツール(Google アナリティクス リンクメーカー)として、クラウドサービスを利用しない、ソフトウェアをWebサーバに設置する方法で提供開始しました。このアプリケーションは、Googleのクラウド環境やクラウドサービスの利用/組み合わせにより“3つの変化”が生まれました。
- Webサーバ側動作環境条件が“なし”に
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過去に同様のしくみづくりをWebサーバ側で処理・実現する方法で複数のプロジェクトで導入をさせていただきましたが、データの処理はGoogleのクラウド環境で実施してデータの表現はJavaScriptの設置で実現することにより、「cronが利用できること、PHP5がインストールされていること」という条件は必要条件ではなくなりました。
- 導入を決めたら非常に短期間で利用開始
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サーバへの設置/導入作業は減り、環境条件がなくなることで、アプリケーションの設置と必要最低限の設定だけで利用開始できるようになりました。
- コンテンツを提供しているサイト側で必要となる作業は大幅減
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ランキングやレコメンデーションを表示させたいページにJavaScriptを設置するだけ。
クラウドサービスに付加価値を
Google App Engineが正式版になるというアナウンスの前に、Google App Engineに類似しており、より自由度の高い形で提供開始されたサービスがあります。DotCloudというサービス名(現時点ではベータ版)で登場したこのサービスは、選択できる開発言語が豊富なだけでなく、トレンドもしっかり押さえられており、node.jsやmongoDB、Solrまでサポートされています。早速MySQLを利用するPHPアプリケーションを設置して問題なく動作することを確認しました。環境構築やデプロイのしやすさ、サポートされているソフトウェアと環境は素晴らしく、このサービスの正式版化とその費用が気になるところです。
弊社では、引き続きアプリケーション設置環境を調査しつつ、開発・動作検証や有効活用の模索は継続していく予定です。そして、より多くのサイトで利用される魅力的なアプリケーション開発へとつなげていきたいと考えています。クラウドサービスを通じて、思いついたアプリケーションを短時間で公開できることは非常に大きなメリットであり、そこで付加価値を産み出していけるよう取り組んでまいります。
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