マイナスをプラスに変えるデザイン
マーケティング本部 ビジュアルデザインチーム 田中 遼馬先日、Gigadgetryというサイトで Da Wei Xingさんという方の絆創膏のコンセプトデザインを見かけました。
その絆創膏は、血のにじみがスマイルマークに見えるようにデザインされたものです。
実際の痛みよりも、血が出ていることでつい泣き出ししまう、そんなこども用にデザインされたのでしょう。私はこのコンセプトデザインをみて、スマイルマークが浮かび上がることでそれまで半泣きだった子供が笑顔になる、そんな素敵な絵が浮かびました。
マイナスを0ではなくプラスに変える
今回はマイナスの要素をデザインによってプラスの要素に変えるという視点について少し考えてみたいと思います。
先にあげた絆創膏の例で言うと、絆創膏に血がにじむというマイナスの要素(あるこどもにとってはきっと傷以上に痛い気持ちにさせてしまいます)をどうにかしようということになった場合、血がにじんでもわからない色にしましょうというのは、マイナスを0にするデザインといえます。しかし、先のコンセプトモデルの絆創膏では血のにじみをスマイルマークになるという発想・デザインを加えることによって、見事に血のにじみをプラスの要素に変化させています。
このように、マイナスの要素をただ0にするのではなく、それをうまく活用しそこに体験を付随させることでプラスに変化させるということはデザインにおいて非常に重要なポイントなのではないかと考えています。
Webサイトに見るマイナス→プラスのデザイン
さて、話はWebデザインに移行しますが、ここ最近のWebデザインのトレンドとして、ページをなるべくコンパクトにし1ページ当たりの情報量を減らす傾向が感じられます。一方で、非常に長いページというものも見られるようになっています。前者に関しては、情報の分割もしくは省略することで伝えたい情報を端的にユーザーに見せる形として有効と考えられます。一方で後者の長いページはスクロールが多く発生しあまりユーザビリティ上好ましくないと思われるのではないでしょうか。しかし、この長いページのwebデザインこそマイナスをプラスに変える好事例なのではないかと考えています。
具体的にサイト例を見ていただけるとわかりやすいと思いますが、例えばsmartという車のサイトでは、スクロールに合わせて写真が動く演出をしています。また、hummingというペンキのサイトでは、ペンキを用意してから壁を塗るまでの流れを右カラムにはフロー図で、左カラムにはスクロールすることによって動く動画で紹介しています。さらに、nike better worldというnikeのより良い世界に向けての動きを紹介したサイトでは、スクロールでコンテンツが展開するその動きに視差効果(パララックス)をとりいれ、印象を強くしています。
このように、どの例も、単にページが長く漫然とスクロールさせるのではなく、スクロールというユーザーの行為にコンテンツの動きを連動させ、演出力を高めています。
つまり、スクロールというマイナス要素を解決するためにページを分割することを「マイナスを0にするデザイン」としたときに、スクロールに動き・演出を付けることで、スクロールすることが楽しい、コンテンツ次へ次へと進めるのが楽しいという体験を与えることは「マイナスをプラスに変えるデザイン」といえるのではないでしょうか。
マイナスを利用する柔軟さ
今回の例ではスクロールという点に着目して話を進めてきましたが、Webにおけるマイナス要素は様々あり、個別のサイトごとにも様々な課題を抱えています。それをデザイン上でいかに解決するのかを考えたときに、マイナスを0にするにはどうしたらいいのかという視点と共に、そのマイナスを逆に利用してプラスに変えるにはどうしたらよいのかという柔軟な視点を持ちながら、今後もWebデザインに取り組んでいきたいと思います。
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。