ソーシャルメディアとどう向き合うか
ソーシャルメディア部 田口 公章ニュースを知る術が変わった
お客様とお話をしていて、「最近ニュースを知る術が変わった」という体験談が話題に上がりました。ニュースサイトやポータルサイトを訪問することが減り、TwitterやFacebookなどで話題になっている情報、友人が関心を持っている情報、あるいは友人から勧められた情報を確認するようになっている、ということです。そう言われてみると、私自身も確かに思い当たる節があります。会社や自宅のPCを起動したとき、あるいは移動中にスマートフォンでチェックするのはTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアと呼ばれるサービスであって、ポータルサイトを開く回数が減りました。最新のソーシャルメディア利用動向の調査データを見ていると、多くの人がソーシャルメディアを使うようになってきていて、その普及スピードが凄まじく速いことが分かります。近い将来の話ではなく、すでに今現在において「みんながソーシャルメディアを使う」ようになっているのです。
ソーシャルメディアとは何か?
ソーシャル「メディア」という呼称は、既存メディアでは発信者の伝えたいことがターゲットとなる人々に届きにくくなったことから、口コミをメディアとして捉えようという動きの象徴であり、どちらかというと発信者視点の呼称なのかな、という印象があります。そのソーシャルメディアを使うときに気をつけなければならないのは、ソーシャルメディア上では情報の受け手ひとりひとりの価値観が大切だということです。これまでのような「発信者が一方的に大きな声で話しかける」という行為が受け入れられない場合があり、しかも受け手の不快感がそのまま言葉となって周囲に発信され、そちらへの共感が広がってしまう(=炎上する)場合すらあります。情報の受け手が発信者でもあるという点、情報流通のスピードの速さ、そして従来は「受け手」だったはずの人たちが発する言葉の、その影響力の大きさというのが、これまでにはなかった特徴だと言えるでしょう。
日本におけるソーシャルメディア利用の現状
2010年から2011年は、ソーシャルメディアを利用した広報・販売促進活動の一環として、企業様が自社名や自社ブランドでのFacebookページを作り顧客とコミュニケーションを取ろうという動きが活発になっています。日本国内のFacebookページでは、クーポン配布や限定数での無料サービスが受けられるといった取り組みが人気を集めているのと、これまでは見られなかった「中の人」がたくさん出てくる「裏話」的な内容も人気を集めています。販促活動は、架空のキャラクターを利用してキャラクター対ファンという形でコミュニケーションする方が受け入れられやすいようで、何気ない「おはようございます」といった一言にたくさんの反応を得ていたり、テレビに取り上げられたりしている事例もあります。ほかにも、進んでいるところでは顧客とともに商品開発をする、といった取り組みも見られます。
ソーシャルメディア利用の本質
いずれの事例においても、これまでに行なわれていた「情報発信」にとどまらない形で積極的に顧客を巻き込もうという意図が見られます。ソーシャルメディアを利用するにあたっての基本をしっかりおさえていますね。顧客を巻き込むためには、参加することで何か得をしてもらうことが必要です。直接的で分かりやすいのが商品購入時に使える割引クーポンなどの特典ですが、それだけではなくサービス改善、商品開発などに自分の意見を聞いてもらえる、自分の好きなブランドの活動に参加や応援ができる、ということも大きな動機になります。心理的に「楽しい」「自分が役立っている」という形で参加するメリットを見いだせれば、その楽しさが自発的かつ継続的な参加につながり、さらに身近な友人知人を巻き込みたくなる、というよい循環を生み出すことができます。いわゆる「常連さん」との関係を築くことが、ソーシャルメディア利用の目的になってくると思います。
一方で、炎上や批判を過度に恐れるがゆえにこれまで自社サイトなどの既存メディアで行なっていたのと同じ「情報発信」にとどまってしまうと、かけている労力の割には成果が見えにくいという事態に陥ってしまいます。顧客の話を聞かず、顧客から話しかけられても返事もせずに一方的に自分の言いたいことを話すようなことは、特にソーシャルメディア上ではやらない方がよいでしょう。
ともに歩む、長い旅
ソーシャルメディアは、今後ますますその存在感を大きくしてゆきます。私たちは、もうソーシャルメディアと向き合わない訳にはいきません。
ソーシャルメディアをうまく使いこなしてゆくには、ソーシャルメディアの特性を正確に理解することが必要です。過度な期待は禁物ですし、心配をしすぎてもいけません。外出すると交通事故や流感に巻き込まれる可能性があるからと恐れていては、広い世界でいろんな人と出会うことができません。しかし、単に外に出てみたからといって、それだけで一獲千金の話に出会える訳でも、人気者になれる訳でもありません。現実の世界と同じです。また、一度はじめれば、運営にかかる労力というコストがかかり続けるものですし、企業やブランドを代表する以上、運営のルールや体制を整えておくことが必要です。
やるべきことはいくつもありますし、不安や悩みは尽きませんが、それでもみなさまへは「まずソーシャルメディアを体験しましょう!」とお勧めしたいです。それが、みなさまと顧客との信頼関係構築につながり、みなさまのビジネスにとって意味があるからです。ソーシャルメディアを上手に使いこなしながら、みなさんのブランドとともに歩む常連さんとのつながりを大切にしてゆきましょう。長い旅になりますが、私たちもお供をしたいと思っています。
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