Tizen Developer Summit Korea 2013参加報告
インタラクティブ・コンテンツ部 藤本 陽介2013年11月11~12日に韓国のソウルで開催されたTizen Developer Summit Korea 2013に参加してきました。Tizenカンファレンスは今回で3回目となり、初めてアジアでの開催となりました。
Tizenとは
Tizenとは、AndroidやiOSといったモバイルデバイスに搭載するOS(デバイスを動かすために必要な、基本的な機能を提供するソフト)のことで、現在モバイルOSといえばAndroidとiOSがシェアの大半を占めているなか、「クロスプラットフォーム」、「Web技術で開発ができる」点で2つのOSに続く「第3のOS」として注目されているOSの1つです。
インテルとサムスンを中心に数多くの企業が開発に参加しており、日本ではNTTドコモからTizenOS搭載のスマートフォンの発売が決定していることもあって、国内でも注目されています。
また、Tizenはモバイルデバイス向けのOSの他に自動車に搭載する車載情報システム用のTizenIVI(In-Vehicle Infotainment)にも開発に力を入れているほか、テレビ、カメラ、冷蔵庫等の家電製品にも搭載を予定しているそうです。
Tizen Developer Summit Korea 2013
「Tizenに関わる全ての人のための技術的な会議」と称し、あらゆる視点からのセッションがありました。中でも自分が気になった内容としては以下の点でした。
- Tizen3.0
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新バージョンであるTizen3.0の機能、64bit CPU対応等機能が追加され2014年第3四半期リリース予定
- TizenOS搭載のカメラ・NX300M
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LinuxOS搭載のカメラ(NEX-5R)とスペックを比較し、起動時間が速い(約3倍)等の紹介
- 開発環境
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Tizen SDK(ソフトウェア開発キット)、開発者支援のためのコミュニティ等の、開発者側に開発しやすい環境を提供するかの紹介
- TIZEN APP CHALLENGE
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Tizen Storeアプリのコンテストで賞金総額 $4,040,000(54作品に賞金)
Webの技術との関係性
Tizenの特徴はWebベースのOSであること、ネイティブとHTML5ベースの両方でアプリケーション(以下、アプリ)を開発できるということです(HTMLといえばWebサイトを作る言語として有名ですが、HTML5の登場に伴いブラウザ以外の場面でも利用されるようになりました)。
iOSやAndroidのアプリでもHTML5/CSS3/JavaScript(以下、HTML5)で開発する事は可能ですが、各OSに対応する形(Hybridアプリ)に変換するか、Webアプリとして公開する必要がありました。その点TizenではHTML5というWebの技術そのままでアプリを開発することができます。
先日、HTML5 test スコア(HTML5の仕様・機能に対応しているかを数値で表したもの)でAndroid 4.0(297)とiOS 7.0(404)と比べてTizen 2.2(492)は現時点で最も高い数値を出し、いかにTizenOSがHTML5を利用するのに適しているかの発表がありました。また、前述した「TIZEN APP CHALLENGE(Tizen Storeアプリのコンテスト)」ではHTML5で開発されたアプリには追加賞金があるなど、HTML5に力を入れていることが分かります。
HTML5ベースで作られたアプリはネイティブに比べて動きが遅い、反応が悪い等のイメージがあるかもしれませんが、TizenのようにWebベースのOSが登場することにより、HTML5(Webの技術)はそのイメージを払拭することができるかもしれません。また、HTML5でアプリを開発できるということは今まで以上に開発者が増え、活性化にもつながります。
ブラウザだけじゃない、Web技術の今後
ここ最近では、モバイルデバイスの普及に伴っての「レスポンシブWebデザイン」や、HTML5の登場による「HTML5によるリッチなWebコンテンツ」、「Web技術を用いたネイティブアプリ開発」等を制作する機会が増えました。それに加えて今後はスマートフォンアプリのネイティブアプリ制作だけじゃなく、カメラ・テレビ等の家電製品、車載搭載システムなど、さらに多くのデバイス・技術へと広がる可能性があります。
移り変わりの激しい業界ですので、こうした新しい技術を学ぶことも大事ですが、それと同時に変わらないもの、ベースとなる技術の再確認もすることができました。今後も幅広い技術力の取得に精進していきたいと考えています。
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