Marketo Summit Japan(マルケト サミット ジャパン)2015 参加報告
Webプロモーション チーム 大里 紀雄2015年2月17日、ウェスティンホテル東京で開催された「Marketo Summit Japan 2015」へ参加してきました。Gartner社の調査でもリーダーとして位置付けられているMarketoが、高まるユーザーのマーケティング・オートメーションへの期待に対し、どのような未来を示したのか?どのようなメッセージを発信したのか?当コラムでお伝えします。
日本市場におけるマルケトの展開
「今回のMarketo Summitの登録者数が約1600名と予想以上の反響があり、急遽メイン会場のすぐ近くにサテライト会場も準備することになった」と、Marketoの勢いを感じさせる裏話も織り交ぜつつ、マルケトの日本法人の代表取締役社長 福田康隆氏の挨拶からサミットはスタートしました。福田氏は今後の日本におけるビジネス展開について、いくつかの方向性を示しました。マルケト日本法人の人員増加、大阪への事業展開、既に100名を超えるユーザー会のさらなる活性化、20社以上の国内パートナー企業との連携強化、などです。また「日本市場へのコミットメント」として
- 将来のデジタルマーケターの育成
- NPOや地域社会への貢献
- コミュニティの活性化 認定コンサルタント ユーザー会の運営
の3つを掲げていました。各コミットメントは既に動き出していますので、パートナー企業の一員として協力していきたいと考えています。
新時代のマーケティング
福田氏の次は取締役会長 兼 最高経営責任者 フィル・フェルナンデス氏による「マルケトが開くマーケティング新時代 -エンゲージメントマーケティングの未来-」と題したセッションでした。このセッションこそが今回のMarketo Summitにおけるメインコンテンツであり、Marketoがもっとも伝えたいことが詰まったセッションだと思っております。
このセッションの冒頭では、マーケティング環境を俯瞰し、今の企業が抱える課題としてマーケティング環境の変化がある、と述べられていました。広告や企業からのメッセージは街頭だけでなくオンラインにも氾濫しているため、お客様との企業との関わり方が変わってきている、といった内容です。
概要をお伝えすると、「伝えるメッセージ」に注力した従来型のマスマーケティングは「いかに効率よく届けるか?」「いかに多くの人々に届けるか?」が大事な要素だったが、私たちが1日に何度も何度も繰り返し広告や企業からのメッセージに接触している現代においては、その効果が発揮しにくくなっている。そこで、リマーケティング(リターゲティング)や、属性データを活用したターゲティングなどによる手法が台頭し、マスマーケティングよりもコンバージョンが取れることが多いため注目されるようになった。しかしこの手法では直近のレスポンスのみに着目するため、「検討段階のユーザーを購入につなげた」ことだけが成果となり、リードの枯渇、刈取り尽くしと言われるような事象が発生してしまう。では、企業は今後どうすればいいのか?その答えとしてMarketoが提唱するのが「エンゲージマーケティング」である、ということです。
エンゲージメント マーケティングとは
講演では、エンゲージメント マーケティングとは「一人一人に合わせた長期にわたる関係を構築すること」であり、エンゲージメントマーケティングを行うには5つの重要な要素がある、と説明がありました。その5つの要素が以下になります。
- 一人の個人として
- お客様がどこにいても
- お客様の行動に合わせて
- 長期にわたってとぎれることなく
- 成果を目指す
では、それぞれ個別に見ていきたいと思います。
一人の個人として
Webサイトを閲覧しに来たお客様すべてを「来訪者」と括ってしまっては、一人一人に合わせた長期にわたる関係を構築することが難しいのは、感覚としてお分かりいただけると思います。エンゲージメント マーケティングを行うには、性別・年代といったデモグラフィックではなく、あくまで個人単位で最適化されたお客様との接点が必要となります。例えばユーザー毎にコンテンツを出し分ける施策などが該当します。ここまででの内容であればよく聞く話ですが、エンゲージメント マーケティングでは「いつもお客様視点」も重要となります。つまり、お客様は自宅のパソコンだけでなくスマートフォンで情報も収集しますし、直接メールしたり電話で問い合わせたりもします。これらも踏まえて最適なコンテンツを用意する必要があります。
お客様がどこにいても
「いつもお客様視点」の内容とも絡みますが、お客様はどこにいても様々なメディアに触れており、複数の接点を常に持っています。個人単位での最適化はブラウザやデバイスの単位ではなく、お客様個人単位ですので、スマートフォンで見たコンテンツと自宅のパソコンで見たコンテンツ、さらにメールや電話においても個人として扱い整合性が取れている必要があります。
お客様の行動に合わせて
今はテクノロジーの進化によって、Webサイトだけでなくアプリやメールなどからも、お客様の行動をログデータという形で収集することができます。このユーザーの行動から様々なウォンツやニーズを把握することができます。エンゲージメント マーケティングでは、ログデータを用いてお客様の行動から何に興味があるのかを傾聴し、それを理解し適切に対応する必要があります。最近はログデータをマーケティング施策に使うという文脈でのみ語られることが多いのですが、Marketoサミットで何年かぶりにログデータを用いて傾聴するという話を聞いた気がします。もちろんマーケティングに活用することに違いはないのですが、サイトに来訪したユーザーに対して単純にリマーケティング行う施策とは似て非なるものです。
長期にわたってとぎれることなく
EC事業者の方であればおなじみのLTV(ライフタイムバリュー)ですが、これをどうやって増やしていくか?どのようにして長期間にわたり、お客様との良い関係を構築していくか?例えば、銀行を例にすると、大学卒業と同時にクレジットカードを契約し、10年後同じ銀行で住宅ローンの金利の相談をし、そこから10年後に保険について加入する。こういった関係を長期間にわたり、深く良い状態にするには、(まさにMarketoの得意分野ですが)適切なリードの管理が重要となります。
成果を目指す
お客様を一人の個人として扱い、どこの接点であっても整合性が取れた状態で、お客様の求めているものに耳を傾けて、ユーザーの興味が変わったり、商品に対する注目度やニーズが高まったり、逆に下がったりする毎にアップデートされ長期間にわたり適切に状態で管理されている。そのうえでお客様の目的に合わせたコンテンツ提供を行う、これを手動で行うのは現実的ではありません。
海外旅行を例にしますが、
- 10代に会社を知り・理解し・評価した結果、購入します。そして成長して、
- 20代になったら、旅行を楽しんで、信頼して、ファンになる。さらに時は経ち
- 60代では会員ステータスを所有し、利用して評価したうえで更新をする。
このようなシナリオの各ステップにおいて、お客様の求める適切なコンテンツでお客様と対話をする必要があります。会社を知るという最初のステップで、ゴールド会員を5年継続することで得られるメリットはお客様の目的と合致しないのは明白ですので、最初のステップでは何を提供するのか、次のステップでは何を提供し、どのような行動をしたら何の案内をするのか?成果を目指すにはここまで上げてきた各項目を実施しつつ、お客様の目的に合わせたシナリオの設計とそれを自動で行う仕組みが必要になります。
最後に
フェルナンデス氏のセッションの後は、ノースウェスタン大学 名誉教授 ドン・シュルツ 氏の基調講演や、実際にMarketoを活用しているユーザーの事例、パートナー企業によるソリューション紹介などが続き、盛りだくさんの内容でした。また、セミナー後の懇親会に参加して、我々と同じパートナー企業様やユーザー様なども交流を図り、普段ではなかなか聞けないような興味深い話を教えいただいたりしもしました。
本コラムだけではMarketo Summitの全貌を伝えきることはできませんので、さらに詳細についてはマーケティングBlogの方で発信させていただければと存じます。また、Marketoに関するセミナーについても企画中でございますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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