時代に合わせたモバイルWebサイトのあり方

「スマートフォンがあればインターネットができるからパソコンもWi-Fi環境も要らない」。このような意見をときどき耳にします。私自身は「インターネットはパソコンで高速回線に接続して利用するもの」と考えていたため、低速回線のモバイルデバイスだけでWebサイトを閲覧することは非現実的に感じていました。しかし本当にそうでしょうか。パソコンにつながるインターネット回線が全て速いとは限りません。世界的には低速なインターネット回線環境が数多くありますし、日本でも従量制課金接続のインターネットサービスが存在します。「インターネットはパソコンで高速に行うもの」という考えのもととなっていた「パソコンにつながる回線は高速である」という概念が根本的に間違っていたことに気づきました。

インターネットへアクセスするためのデバイスがパソコンかモバイルかについてもあらためて考えてみました。ちょっとした情報の検索や日用品の購入などでは「パソコンを起動するのが面倒」と思うことがしばしばあります。対してモバイルはいつどんな時でも気軽に情報を検索することが可能ですし、移動中でも日用品の購入ができるといった大きなメリットがあります。電源ボタンを押してから何分も待つ必要がなく、スリープにしますか？の確認に対して「OK」ボタンを選択する必要もありません。

2007年にiPhoneが発表され、スマートフォンに最適化されたWebサイトが定着し、管理面からワンソースのレスポンシブWebサイト、モバイルファーストの概念が広まり、昨今ではモバイルフレンドリーであることがSEOに有効であると言われる時代です。たった10年でここまで進化したのは、それほどまでにユーザーの要望が高かったからでしょう。

その要望はモバイルデバイス本体のCPU、メモリ、解像度などのハードウェア技術や、ブラウザのアップデートというかたちでのソフトウェア技術の向上において実現されています。そして今では、モバイル用ブラウザのほとんどが、パソコンのブラウザと同じようにWeb上のAPIをサポートしています。

モバイルデバイスにおけるインターネットのデメリット

モバイルデバイスでパソコンと同じようにWebサイトを閲覧することは問題がないように感じられますが、デメリットがいくつかあります。その1つはネットワーク環境に依存することです。

• 地上を走っている電車が地下鉄に切り替わる時
• 電波が届きにくい場所にいる時
• 時間帯によって回線が込み合う時

ネットワークは場所や時間など様々な条件によって速度などが変わり、Webサイトの閲覧はその影響をストレートに受けます。例えば、あるニュースサイトで最新の記事を読んでいて、続きを見るボタンを押したがなかなか読み込まれない、あるECサイトで商品の購入を検討していたが、ページからのレスポンスがなかなかない、などの経験があると思います。DoubleClickによる調査『The need for mobile speed: How mobile latency impacts publisher revenue』では、ページの読み込み完了までに3秒以上かかる場合、ほとんどのユーザーが離脱するという結果が示されています。これは離脱したユーザー分のビジネスチャンスを逃していることと同義になります。

Googleが提唱するPWAと言う考え方

Googleはネットワークに依存せずにモバイルデバイスでWebサイトを閲覧する方法として、Progressive Web Apps（PWA）を提唱しました。PWAは、Service Workerを用いたキャッシュへのアクセスを有効にすることでWebサイトのオフラインでの閲覧を可能にし、ネイティブアプリのようにホーム画面へインストールすることでユーザーの使い勝手を向上させ、ブラウザからのプッシュ通知を行うことで再エンゲージメントを実現します。時代に合った、モバイルWebサイトとネイティブアプリの中間地点のような概念です。

当社は本日「PWA対応」サービスをリリースしました。本サービスにより、Webサイトのクオリティを維持しつつ、オフライン化による表示パフォーマンス向上を実現します。現行のWebサイトへの対応はもちろん、新規Webサイトの構築時の対応も可能です。また、オプションによる「AMP対応」サービスとの連携、プッシュ通知の実装などをご提供するほか、Webサイトの運用面を考慮したご提案、ユーザーエクスペリエンスを向上させるデザインのご提案など、企画から納品までワンストップでサポートします。

ご興味・ご関心のある方は、モバイルデバイスで検索する時のように、お気軽にご相談ください。