VUCAの時代というけれど
取締役(CTO) 木達 一仁2022年、最後のコラムです。温暖化の影響かはわかりませんが、目につく限り都内の紅葉はまだ落ち切っていません。実際、気象庁の発表によれば、秋(9~11月)の平均気温は全国的にかなり高かったようです。
もっとも、今週に入ってからはようやく12月らしい寒さを感じるようになり、それどころか北日本から西日本の日本海側を中心に大雪が懸念されています。お近くにお住まいの方々は、くれぐれも最新の気象情報に留意していただければと思います。
さて今年を振り返りますと、一昨年から続くコロナ禍(私自身7月に新型コロナウイルス感染症に罹患してしまいました)に加え、2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻という、2つの事案の影響を受け続けた印象の強い一年だったと思います。一部ではいまだ全面核戦争の可能性が取り沙汰されており、個人的にはこれまで生きてきた中でもっとも強く終末感を覚えた年でした。
折しも、経済誌の最新号では、2023年の予測がこぞって特集されています。そこでまず目に飛び込んでくる単語といえば戦争、気候変動、パンデミック、インフレに資源高……。いったい、2023年はどうなってしまうのでしょう。私たちは果たして、経済・社会・環境のそれぞれで直面している危機を乗り越えることができるのでしょうか。常に楽観的でありたいと願う私ですら、なかなか「できる」とは即答しづらく感じます。
ところで、VUCA(ブーカ)という言葉があります。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4単語の頭文字からできた言葉です。見聞きしたことのある方は、きっといらっしゃるはず。
といいますのも、軍事用語として90年代には生まれていた言葉ですが、時代をうまく表現した言葉として最近、よく使われているようなのです。実際、言われてみれば2022年ほどVUCAだった年は無かった気がしますし、コロナ禍が始まって以来はとくに、世相をあらわす言葉として納得感があります。
しかし私は、ふと思うのです。果たしてVUCAではない時代が、かつて存在しただろうかと。変わり映えのしない、確実かつ単純で、すべてが明確な時代など、一度も存在しなかったのではないかと。例えば安定成長期と呼ばれる時代であっても、少なからずVUCAの要素はあったはずです。ただ単に、それが今ほど顕在化していなかった、可視化されていなかったに過ぎないのではないでしょうか。
何を申し上げたいかといえば、結局のところ、VUCAかそうでないかは心持ちひとつで変わり得るということ。たとえ私たちが、真にVUCAの時代を生きているとしても、それを嘆いたところで何も始まりません。であれば尚更、前向きに「そういうもの」と受け入れ、ひとつひとつの危機に正対したいと私は思います。
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」とは、パーソナルコンピューターの父と呼ばれるアラン・ケイ氏の有名な言葉。それに倣い、変化を起こされる側から時には変化を起こす側に回り、来年以降も当面は続くであろうVUCAと呼ばれる時代を乗り切れたらと願います。その端緒を、最近になって立て続けに発行したニュースリリースから感じ取っていただけたら幸いです。
- Adobe Experience Manager as a Cloud Serviceの提供を開始
- オンラインセミナー「ベストプラクティスに学ぶ グローバル企業のデジタルコミュニケーションの最前線」を2023年2月9日に開催
- 「サステナビリティ経営時代のWeb品質 解説セミナー」開催のお知らせ
- Acquia Cloud Platformへの移行支援によるDrupalの提供を強化
最後にお知らせです。当社の年末年始休業日は12月29日から来年1月3日まで、2023年の営業は1月4日からです。皆様、どうか良い年末年始をお過ごしください。
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