UX Masterclass 2023 Zaragoza 参加報告
UXリサーチャー 竹内 歩UX Masterclass は世界32ケ国のUXエージェンシーにより構成されるUX alliance※1が毎年主催する国際カンファレンスです。当社は2007年にUX allianceに加盟し、これまで何度かUX Masterclassでの発表を行っています。
今年のUX masterclassはスペインのサラゴサで開催され、開催国ホストとしてtorresburriel社の協力により実施されました。
今回のテーマは「How leaders can design change in a complex world」であり、当社は「How leaders can better grasp future generations : A UX research perspective」というタイトルで私 竹内と、同じくUXリサーチャー 隅田の2名で発表をしました。
Leaderという定義は様々に解釈できます。広義では、大統領・首相、企業の代表・役員、人気YouTuber / インフルエンサーも該当するでしょう。今回、私たちは、サービス・商品提供者側をLeaderと定義し、Z世代のような新世代の考え、価値観をどのように捉えたら良いのかを発表しました。
サービス・商品提供側は、常にターゲットユーザーを理解し開発するプロセスを踏みます。新世代のように、Leaderとは違う考え、価値観をターゲットとした時、Leaderは自身の経験に基づいて醸成された「型」に当てはめて新世代を理解しようとします。その「型」が新世代の考え、価値観を捉え切れず、誤った理解をしてしまうことを問題提起。その問題を解消する方法の一つとしてUXリサーチの手法を通して、決められたセグメントやカテゴリーに当てはめるのではなく、ユーザーの「ありのまま」を捉えることを推奨しました。
私たちは、Leaderがその「型」で誤った理解をしてしまう例として、日本語の「エモい」を使用し説明しましたが、発表はその「エモい」というワードに対する興味もあり、非常に多くの反響をいただきました。また、同業である他国のUXリサーチャーから「物事を型で捉えてしまうこと」への共感とリサーチャー自身が戒めるようなコメントをもらい、他国のリサーチャーにも共感してもらったことの嬉しさを覚えました。
また、他の国も下記の内容について発表がありました。
- アメリカ:UXリサーチャーがどのように生成AIと向き合い、活用しているかの紹介。
- インドネシア:農家が金融サービスを活用できない構造的な問題とそれにどうアプローチするかの提言。
- ドイツ:ベンチマーク評価をする上で、定量的側面と定性的側面をどう含めて評価できるかを自動車の調査を事例に紹介。
- 南アフリカ:アフリカの人口、経済、言語といった背景と金融サービスにおけるスマートフォンでの取引の実態、UIについての紹介。
各国の実情について理解でき、リサーチのアプローチなど非常に興味深い内容になりました。
カンファレンス後も、国を越えてリサーチャー同士がリアルに交流できる場があり、普段思うことの意見交換を通しての共通認識や新たな発見が得られ非常に有意義な機会となりました。引き続き、各国のUX活動の理解やリサーチャー同士の意見交換を通して私たちの知見を高めていきたいと思っています。ご一読ありがとうございました。
- ※1 UX allianceは、2005年にフランス、ドイツ、スペイン、イギリス、アメリカの先進的UX企業で設立され、2023年10月現在32ケ国が加盟しています。その活動は、今回のようなUX master class Conference開催の他、毎月の情報共有会、各国がグローバルUX調査の連携をとりやすいような施策の実施、調査の質を担保するための活動を通して、協力体制を構築しております。
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