UX alliance Meeting in Dubai に参加して
UXリサーチャー 竹内 歩毎年開催されるUX Masterclass について、昨年のスペインのサラゴサでの参加報告投稿から約1年が経ちました。今年のUX MasterclassはUAEのドバイで10月24日まで行われました。内容はUXリサーチャー隅田の投稿を是非ご一読ください。今回、私からの投稿では、UX Masterclass後に行われたUX allianceのミーティングについて触れたいと思います。
アライアンスミーティングは、例年UX Masterclassの後に2日間実施されます。UX alliance加盟のデザインリサーチ各社の代表が集い、グローバル調査の連携、顧客開発・動向、調査手法・アウトプット、調査の品質、加盟各社の紹介など様々なトピックで議論・共有が行われます。出席者は加盟各社を代表しており、多くはリサーチャー兼経営者です。リサーチャー視点も持ちつつ、経営者同士の意見交換・アライアンス全体の方向性についての合意形成がその場でされる重要な会議となります。
ここで、UX allianceのグローバル調査体制についてご紹介します。UX allianceの調査プロジェクト体制は、顧客からの依頼を受けたデザインリサーチ会社が主幹となり、調査対象国のデザインリサーチ会社へ調査依頼をします。対象国が1カ国の場合もあれば、複数国の場合もあり、対象国が多ければ多いほど調査の進行・品質管理が肝となります。調査目的、調査対象者の設定や獲得方法、調査の聴取内容など、各国と共有・足並みを揃えつつ、実施に向けて各対象国で適切にローカライズされます。このような連携のため対面で行われるアライアンスミーティングは相互理解・連携には絶好の機会と言えるでしょう。
今回のトピックは、主に新規加盟会社の紹介、顧客動向・今後の価値提供、グローバル調査を実施する上での注意点などの共有でした。この1年でエジプト、韓国、フィリピンの会社が新たにUX alliance memberに加わりました。アジアでは既に、日本(当社)、インド、インドネシア、シンガポール、中国が加盟しており、アジアにおける調査対応地域が広がりつつあります。当社もこれまでは欧米のパートナーとの連携が多かったのですが、近年アジアのパートナーとの連携も増えてきていると実感しています。
また、グローバル調査においては、グローバル市場を席捲する企業が顧客の中心でしたが、新興産業の企業からも問い合わせ、調査実施が増加し、UX allianceの存在価値をどのように表現するか、ターゲット顧客へのプレゼンも想定した内容を議論しました。ミーティングに参加している多くは経営者だからでしょうか、視座の高さ、リーダーシップ、論点整理、合意形成など、非常に刺激を受けました。また、オープンで率直な意見が飛び交う場でもあり、自社のリソース、フィージビリティ、組織運営など好事例などが聞けることも相互理解において有意義な場であると感じています。
グローバル調査を取り巻く環境としては、ヨーロッパのGDPRに代表される個人情報の取り扱いについてがトピックに挙げられました。事前の調査同意確認、データ管理はもちろんですが、その項目の多さ、セキュリティの要求が増してきたと欧米中心に各社から報告がありました。日本のリサーチ業界では以前より調査における個人情報の取り扱いについて事前に本人から同意を得て実施していますし、取得した個人情報の管理、データの納品についても慎重に取り扱い、管理を行っています。そのため、個人的な印象としては、GDPRが制定される以前はグローバル調査において日本の個人情報の取り扱いは他国より厳重な印象がありましたが、GDPRによって個人情報保護の認識が同じレベル、もしくはそれ以上になってきたと感じています。
濃い内容のミーティング後には懇親会が開かれ、1日目はクルーズ船での海上パーティー、2日目は砂丘ドライブで日没を見た後に、夕食を通して親睦を深めました。ドバイの自然(海、砂漠)を楽しみながら、各国のパートナーと絆を深められた時間でした。
来年はUX alliance 設立20周年という節目の年となります。日本のパートナー会社として、更にグローバル調査に貢献できるようモチベーションが高まった出張となりました。最後までご一読ありがとうございました。
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