SEOとアクセシビリティの意外?な関係性
アクセシビリティ・スペシャリスト 中村 精親「アクセシビリティの向上が検索エンジン最適化(SEO)につながる」
こう聞いたときにどのように感じるでしょうか。
「聞いたことあるけど…」「関係あるの?」というような感想が多いかもしれません。実は両者の関係についてはかなり以前より言及されていました。例えば、
Googleの検索エンジン最適化スターターガイド(PDF)
には、ページタイトルや見出し、代替テキストを適切に提供する、といったまるでアクセシビリティガイドラインのような内容が載っています。
にもかかわらず、一見関連性がなさそうに感じてしまいがちなこともあり、それほど注目されてきませんでした。
しかしながら、今後この両者の関係が注目を浴びることになるかもしれません。その一例として、当社で日本語版を提供している「アクセシビリティチェックツール(WorldSpace)」の開発元でもある 米国Deque Systems社 が、今年2012年のはじめにPure Visibility社という 検索エンジンマーケティング会社と提携を結んだ ことが挙げられます。
なぜ今、こうした動きがあるのでしょうか。
検索エンジンという名のユーザー
そもそも、両者はどのような点が関係しているのでしょうか。よくある説明はこうしたものです。
「検索エンジンのロボットは、スクリーン・リーダー(視覚障害者が主に利用する音声読み上げソフト)でアクセスするユーザーと同様である」
そのため、スクリーン・リーダーで読みやすいサイトは検索エンジンにも理解されやすい、という論法です。
これはもちろんそのとおりではあるのですが、読み上げに限ったことではありません。アクセシビリティガイドラインの国際標準である Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) や国内規格JIS X 8341-3では「プログラムが解釈できること」を非常に重要視しています。
「WCAG 2.0解説書」の一部、「WCAG 2.0への適合を理解する」という章の中には「『プログラムが解釈』を理解する」という項があり、そこには以下の一文があります。
「プログラムが解釈」できるコンテンツは、(支援技術を含むユーザーエージェントによって、)個々の利用者が必要とする様々な感覚(例: 視覚、聴覚)のフォーマット又はプレゼンテーションのスタイルに変換することが可能である。
検索エンジンもユーザーエージェントの一種ですから、「プログラムが解釈」できるコンテンツにすることによって、利用者である検索エンジンが必要とするフォーマットに変換されやすくなる、というわけです。
プログラムで解釈できるということ
これはすなわち、その部分に対する検証もプログラムで機械的にできる、ということを意味します。
もちろん、Googleをはじめとする検索エンジンのアルゴリズムは公開されていませんし、また変化し続けるものですから、検証して修正すればすぐに順位が上がる、というわけではないでしょう。
ですが、重要とされる部分を広範囲にわたって機械的に検証することは可能なわけです。そこで、当社でも前述のDeque Systems社のツールWorldspaceを利用し、低価格で広範囲のSEO品質をレポートするとともに、アクセシビリティの向上にも役立つ、という一石二鳥のサービス「SEOクオリティ診断」を本日リリースいたしました。ぜひこちらもご覧ください。
意味、内容が機械的にも重視される
上記のサービスをリリースした理由はこれだけではありません。ひとつの大きなポイントとして、Googleのアルゴリズム変更があります。最近の一連の変更から、SEO対策において今後より意味や内容が重視されるようになっていくことでしょう。
かつてSEOといえば、現在ではスパムとされるようなプログラムをある意味「騙す」ような方法が利用されることもありました。そうした方法が必要とされるサイトもあるかもしれません。しかし、通常のウェブサイトの多くは長期的に運営されていくものです。ですので、アルゴリズムの変更に一喜一憂するのではなく、常に評価されると考えられる、意味や内容をより正しいものにしていく、ということが重要だと思われます。そのためにはさまざまな専門的な知識が不可欠になります。
当社では、SEO、アクセシビリティをはじめとした各分野の専門家が在籍し、またWeb制作会社であることから、制作部門とも直接連携することができます。Webサイト制作が高度化している今こそ、前述のサービスをご利用いただければ、と思っております。
最後に、こうした内容をより多くの方に知っていただきたく、「SEO×アクセシビリティ」品質向上セミナーを開催することにいたしました。来ていただくだけでも、意味のあるようなセミナーにできればと思っております。
デモンストレーションなども交え、よりわかりやすい説明ができると思いますので、多くの方にお越しいただければ幸いです。
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