漫画によるビジネス・コミュニケーション
UXエバンジェリスト 金山 豊浩4コマ漫画による「UXデザイン」の紹介記事
先日、@ITのHTML5+UXコーナーにて「もし新人女子営業が『UXデザイン入門』を読んだら」という記事を執筆しました。4コマ漫画形式で「UXデザイン」を紹介したものです。本コラムでは、その記事の企画・制作を振り返り、漫画によるビジネス・コミュニケーションについてお話しいたします。
当初、UX関連の記事として文章による説明を考えましたが、どれだけ言葉で説明しようとしても言い表しづらかったので、いっそのこと、漫画を使ってビジュアルで1つのストーリーとして説明してはどうかと考えました。と言いますのも、最近、漫画形式によるプレゼン資料を見かけるようになり興味を持っていましたし、自分も漫画が作成できるソフトを使い始めていたので機会があれば試してみたいと感じていたからです。
記事の企画で考えた漫画の構成要素
漫画による記事を企画する上で考えたことは以下のような点です。
- 伝えたいこと
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記事を通して読者に「『UXデザイン』とは何か?」「実践方法は?」「どのような効果があるのか?」を伝えます。
- 状況設定
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「社内のスマホアプリのコンペに対して、社員がそれぞれの立場・視点から取組む」という状況を設定しました。
- 登場人物
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以下の3人を取り上げ、別々の特徴的な視点で取組むようにしました。
- アーキテクト:機能からシステムを構築する(開発者視点での取り組み)
- デザイナー:見た目重視で、クールなデザインを目指す (表面的なカッコよさを追求)
- 新人女子営業:このストーリーの主人公。企画など初めてなので途方に暮れ、教科書的存在の書籍に出会う
- ストーリー
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新人女子営業が『UXデザイン入門』を読んでコンペの企画立案に「UXデザイン」を実践。友人へのインタビューから利用者ニーズに気づき、新しいお天気アプリのコンセプトを利用者の体験として考えます。具体的な利用方法はスケッチで描き、友人に見せて確認しながら、短期間で仕上げます。そして、利用シーンとメリットも利用者の体験として伝わるようにプレゼンした結果、先輩社員を尻目に、最優秀賞を受賞することになりました。
漫画とUXデザインの親和性
改めて企画した記事の内容を見てみますと、UXデザインと漫画の親和性が高いことに気づかされます。例えば、どちらもコンテクスト(文脈)と登場人物のキャラクター(性格・趣味・嗜好・行動パターン)がとても重要です。コンテクストは適した背景画像(オフィス・駅・繁華街・公園などの場面)を選択することで表すことができます。登場人物もイメージに近い人(のモデル)を選ぶことができます。表現形式をとってみても、利用者のニーズ・考えを利用者視点で利用者の言葉で表現することが大事ですので、吹き出しを使って登場人物に語らせることで、UXデザインで狙っていることが自然と表現できるようになります。そして、利用者の感情を表すことも、ポーズ・表情・効果線・マンプ(感情や状態を視覚化した符号 [例:汗、怒り])などを駆使することで強調され、伝わりやすく表現できます。
漫画によるビジネス・コミュニケーション
伝えたいこと、状況設定、登場人物、ストーリーを設定すると、「この流れで行くと、この場面でこの登場人物は何をするか、何を言うか、どのように感じるか」について、自然とアイデアが湧きだしてきました(登場人物が自ら語り出すような状況です)。途中段階の4コマ漫画を周りの人に見せて意見をもらいながらブラッシュアップすることで、言いたいこと・伝えたいことが端的で分かりやすい表現になっていきました。
このように、漫画を使用することで、UXデザインの表現方法としてはもとより、色々なビジネスシーンにおけるビジネス・コミュニケーションの一手段としても効果が発揮されることが容易に想像できます。最近では、漫画を使ってコミュニケーションすることについて書かれた書籍も出版されています。
皆さまも漫画を活用して、インパクトがあり伝わる資料の作成に挑戦してみてはいかがでしょうか?
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