Web品質管理「Web Checker」サービスリリースに寄せて
品質管理部 マネージャー 小稗 俊樹本日10月5日に、Web品質管理「Web Checker」サービスをリリースいたしました。今回はこのサービスについてご紹介いたします。
社内の「検品」工程をサービス化
当社では、納品前の成果物をチェックする品質管理部門が制作部門とは独立した形で設けられています。制作者自身のチェックとは別に、第三者的な視点でのチェック工程を経ることで、成果物へのミスの混入を抑止する狙いがあります。社内ではこれを「検品」と呼び、検品を経て納品することを原則義務付けています。
様々なお客さまからWebページの制作、運用を預かっておりますので、その検品実績も相当数にのぼります。昨年度だけで何らかの検品を行ったページ数は延べ10万ページに達しました。
今回は社内で蓄積してきた検品にかかる知見をよりお役立ていただくため、あらためて検品工程を切り出す形でサービス化することといたしました。当社の既存のお客さまへの納品物は、これまでも検品を行ってきておりますが、本サービスのリリースにより、Webサイト運用を内製で行っているお客さまなどにも検品サービスを単体でご利用いただけるようになります。
検品の必要性と避けられないヒューマンエラー
Webページは、機械化された製造工程で大量生産される工業製品とは異なり、どのページもユニークな情報をもつことが前提となります。一方、ページごとに共通化できる部分をモジュール化することもまた一般的になっています。モジュールを使用するエリアとユニークな情報が混在しているのが、現在公開されている大半のWebページの仕様といってよいと思います。
ユニークな仕様は、担当者によるユニークな作業を求めることになります。そうするとWebサイト運用の場面では、ヒューマンエラーが生じる可能性は避けられません。例えば「てにをは」レベルのテキストミスであれば影響もわずかであるかもしれませんが、サービス内容や重要なアナウンスなどの誤記は回収し難い大きな影響を及ぼす可能性があります。
運用にあたる担当者一個人の高いスキルや集中力でこれを防ぎ続ける運用というのはなかなか現実的でないでしょう。ヒューマンエラーの研究でも、対象者の置かれた作業環境によってヒューマンエラーが発生しやすくなる、という視点で原因分析や予防策へアプローチするのが基調となっています。
検品を通じたサイト運用のご支援
誤字脱字等なくテキストが読めること、意図されたページへリンクがつながっていることなどは、Webページ閲覧にあたり最低限期待されている品質です。今回のサービスでは、当社の検品にかかる知見をもってこのベーシックな品質を担保することを狙いといたしました。
作業上のミスが残存したままWebページが公開されないよう、その予防策として実作業終了後の検品を実施いたします。実施した検品のエビデンスからPDCAサイクルを回し、発生しやすいミスを抽出、改善ポイントをフィードバックすることも可能です。
制作プロセスから見直すコンサルティング
また、ひとつ前の制作プロセス自体を検証することで、より効果的なミスの予防策を検討することも可能です。業種を問わず「品質は前工程でつくりこむ」という考え方は広く行き渡っています。検品から逆算した運用プロセスの改善も検討いただけます。
一例として、この4月から半年間、ヒューマンエラー低減とサイト品質改善の目的でコンサルティングを実施した案件がありました。ヒアリングの結果、インハウスでWebディレクターが実作業を兼ねている体制、公開までのスピードが求められるため、入稿から公開まで担当者が1人という運用でヒューマンエラーが散発している状況を把握いたしました。
対策として、重要な情報更新を絞り込み、限定的なダブルチェックの仕組みを導入いただきました。あわせてタスク管理ツールを導入、チェックの実績を集計、フィードバックできる体制も整えました。当初の状況からは、半年間で導入まで進められれば十分と想定していましたが、ダブルチェックで問題点を発見できるよう実運用が軌道にのるところまでご支援することができました。
チーズの一枚
最後に。スイスチーズモデルという考え方があります。リスク管理の在り方をチーズになぞらえたもので、一般に検索いただくと、ところどころ穴が開いていてスライスされたチーズが並んでいる図に行き当たると思います。チーズの一枚一枚は業務プロセスを、開いた穴は業務プロセスのミスや欠陥を示しており、並んだチーズの穴すべてを貫通してしまうことが重大事故を示します。この穴が互い違いになり貫通しないようチーズを並べること(=業務プロセスを組み上げること)が望ましい姿となります。
ベーシックな品質を担保しながら安定したWebサイトの運用を続けるにあたって、当社のWeb品質管理サービスをこのチーズの一枚としてご利用いただければと考えております。チーズの穴を小さくするコンサルティングと合わせて、ご用命お待ちしております。
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