「アクセシビリティガイドライン(WCAG/JIS X 8341-3)の活用 解説セミナー」のご案内
取締役(CTO) 木達 一仁年の瀬の足音を耳にするにはまだ早過ぎますが2018年、これまでのところWebアクセシビリティの分野で最大のニュースといえば、おそらくWCAG 2.1の勧告でしょう。先月開催した「Web担当者のためのWCAG 2.1 解説セミナー」には、予想を遥かに上回る定員の倍以上のお申し込みをいただいたことからも、注目度の高さが伺えました。
同セミナーでお伝えしたポイントの一つは、WCAGがアップデートしたからといって、何も最新版を使わなければいけないわけではない、ということです。2.1が勧告された今日現在においても、引き続き2.0を利用することは可能です。
中長期的にみれば、アクセシビリティ対応の基準としてWCAG 2.0を採用していたところが、2.1に置き換えられていくのは時間の問題でしょう。既に、ヨーロッパの公的機関がICTの製品やサービスを調達する際に使用する規格、 EN 301 549 については8月の時点で、そのような対応がなされています( WCAG 2.1 Adoption in Europe 参照)。
しかし、WCAG 2.1を基準としたアクセシビリティ対応を行うには、関連情報や対応ツール類の一層充実が望ましく、現時点ではやや拙速との感が否めません。当社はW3C会員として、またWebのアクセシビリティを率先して底上げしていこうというスタンスから、既に制作物の品質基準に2.1を採用していますが、セミナー開催レポートにもありますように、まずはWCAG 2.0をベースとした取り組みを継続性をもって進めていただくことが大事である、と考えます。
WCAG 2.0が勧告されたのは、今からほぼ10年前の2008年12月です。関連情報や対応ツールは、2.1で新たに追加された達成基準のそれと比べれば、当然ながら遥かに充実しており、取り組みやすさが格段に異なります。また、Webコンテンツの日本における公的なアクセシビリティ規格、JIS X 8341-3は技術的にはWCAG 2.0と同じ内容であり、その内容が2.1に置き換わる予定が当面は無いということもあります。
確かにWCAG 2.1で強化されたモバイル、弱視、認知・学習障害への対応というのは重要です。取り組まないより取り組んだ方が良い、というのは論を待ちません。ですが、WCAG 2.0でそれらの領域に「まったく」対応できないかといえば、そうではないのです。大切なのは、どのバージョンのWCAGを基準に使うかではなく、アクセシビリティ確保の取り組みを仕組み化できるかどうかであると思います。
そうした観点から来る11月16日、「アクセシビリティガイドライン(WCAG/JIS X 8341-3)の活用 解説セミナー」を開催します。今年5月に開催した「Webアクセシビリティ入門セミナー 2018」の続編という位置付けで、ガイドラインの活用方法にフォーカスした内容をお伝えする予定です。これからWebアクセシビリティに取り組もう、ないし取り組みを強化しようとお考えのWeb担当者の皆さまはぜひ、参加をご検討ください。
なお、タイトルに「JIS X 8341-3」という言葉を含めていることからお分かりのように、JIS規格を用いてアクセシビリティ対応を進めるプロセスについても解説いたします。従い、公的機関にお勤めでWebアクセシビリティに携わられている皆さまも、奮ってご参加ください。
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