UXPA2019参加報告
第一事業部第二本部(UX) UXリサーチャー 亀山 明佳6月24日から27日にかけて、米国のアリゾナ州スコッツデールで開かれました、 The User Experience Professionals Associations (以下UXPA)に参加してきました。UXPAは、UXに関する国際的なカンファレンスで、今年は世界17カ国650人強のUX専門家たちが集まりました。
期間中は、朝から夕方までテーマに沿ったセッションが会場内、様々な場所で開催されます。
また朝食、ランチ、レセプションパーティなどUX専門家同士の交流の場も多く設けられており、UXに関する意見交換やコミュニケーションが活発に行われます。
今回私は全日程に参加し、全部で17コマのセッションに参加しました。私自身もポスターセッションのプレゼンターとして発表もして参りました。その中で特に印象に残ったことをお伝えしたいと思います。
新たなジェネレーションの行動を考える
生まれた時からインターネットが当たり前のように存在するデジタルネイティブで、主に2000年代に生まれた世代をジェネレーションZ(Z世代)と呼んでいます。米国でのZ世代を調査した結果を発表した興味深いセッションをご紹介します。
彼らはモバイル端末によって「常に接続」している状態であり、巧みにSNSを使い分けながら行動をしています。
- Instagramをメインツールとし2個以上のアカウントを持ち、「プライベート」と「オフィシャル」を使いわける。(プライベートは本当に仲の良い「身内用」として/オフィシャルはフォロワー数を増やすための「表向き」のものとして)
- Twitterは個人的な実況、Facebookは親に向けた報告ツール、Snapchatは友人との宿題確認や待ち合わせなどいわゆる「業務連絡」的なもの
- ほぼ情報探索はInstagramですませ、検索エンジンは使わない(Google嫌い)
- 旅行先などはInstagramで大まかな行先をきめて、Pinterestで「今」発信されている現地情報を収集する(今起こっているリアルな情報で意思決定していく)
- SNSアプリでの情報探索、スマホ決済が中心(サイトの「購入ボタン」やログインパスワード何!?という世代) など
この世代の行動特性を踏まえると、今のペルソナ、ユーザーシナリオは本当に正しいのだろうかと疑ってしまいたくなります。目まぐるしく変化するデジタル行動特性を踏まえたWeb戦略の在り方を改めて議論をしていく必要があると感じたセッションでした。
UXデザインを実現するために
UXの重要性は理解されているのに、UXデザインは実現しにくい。(私が発表したポスターセッションでも取り上げたテーマでもあります。)
このUXデザインの課題解決に向けた取り組みを紹介したセッションがありました。
Webサイトやアプリがリリースされるには企画と技術メンバーが協力しながら進める。しかし、それはしばしばビジネス視点や、技術ベースの議論に終始してしまい、UX課題を解決しきれないデザイン改善が繰り返される。UXリサーチに取り組んでユーザー理解を試みるが、今度はビジネス視点と技術視点をうまく取り込むことができず、リサーチ結果を生かすことができないというループに陥ってしまい、なかなかUXデザインの実現ができない、といった問題がよく起こっていたそうです。そこでHCD(Human Centered Design)とアジャイル開発をミックスしたHCDアジャイルという取り組みが紹介されていました。
UXデザインは、ビジネス、テクノロジー、ユーザー、この3つの視点がしっかり交わることで実現するといいます。そのためには、企画、技術、UXリサーチに関わるコアメンバーが全てのプロセスを協働するという取り組みです。お互いの理解、知識をプロジェクトの最初から最後まで共有しながら進める新しいアジャイルスタイルが必要であると伝えていました。
ユーザーファーストの視点だけではUXデザインの実現が難しいことを理解した上で、我々UXリサーチャーはどのように活動していくべきか今後のヒントになるようなセッションでした。
最後に
今回のUXPA2019のプログラム概要はUX Blogでご紹介しております。
またここでお伝えできなかったその他セッション内容や、今回我々が発表したポスターの内容の詳細についは、近々UX Blogの方でお伝えしていこうと思っていますので、ご興味ある方は是非ご覧ください。
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