現代の企業サイトにとって、CMSの価値とは?
テクノロジーアンバサダー 榛葉 裕幸If Content is King, Consistency is Queen ── コンテンツが王なら、一貫性は女王である
ブランドコミュニケーションやマーケティングに携わる皆さまにとって、このフレーズは馴染み深いかもしれません。質の高いコンテンツは、ブランド戦略の中心に位置し、顧客の興味を引き、信頼を築くために欠かせない要素です。しかし、どれほど優れたコンテンツでも、一貫性がなければその効果は半減してしまいます。
例えば、顧客志向を掲げていながら実際には自社の都合を優先していたり、技術の先進性を強調しながら、そのメッセージを発信するWebサイトが脆弱であったりすれば、顧客を失望させ、ブランドの信頼を損ねるかもしれません。
現在、多くの企業がデジタルを通じて顧客とつながり、コンテンツ体験を通じてブランド価値を高める努力をしています。特に企業のコーポレートサイトは、顧客とのエンゲージメントを深め、長期的な信頼関係を築くために、質の高いコンテンツとその一貫性を提供することが求められています。
CMSが実現する3つの一貫性
企業のWebサイトにおいて、適切なコンテンツ体験を提供するために欠かせないのが「コンテンツ管理システム(CMS)」です。W3Techsの調査によると、約7割のWebサイトがなんらかのCMSを導入しています(比率は記事執筆時:Usage statistics and market shares of content management systems)。
CMSはすでに多くのWebサイトで活用されていますが、ここでは企業サイトにおけるCMS導入のメリットを再確認し、特に「コンテンツ体験の一貫性」を維持する観点からその価値を3つご紹介します。
1. コンテンツの一貫性
まず、CMSは大量のコンテンツを一元的に管理し、Webサイト全体でメッセージやトーンの一貫性を保つことができます。企業がデジタルチャネルを通じて発信するコンテンツは増加の一途をたどっており、統一感を維持することがますます難しくなっています。CMSを活用することで、コンテンツガバナンス(内容の管理や承認プロセス)が効率化され、複数の担当者やチームがかかわっても統一感のある情報発信が可能になります。
2. UI/UXの一貫性
次に、CMSはWebデザインやUI(ユーザーインターフェース)の一貫性を確保する役割を果たします。ページごとに無秩序なデザインやレイアウトになることを防ぎ、サイト全体として統一されたユーザー体験を提供できます。ヘッダーやフッター、メニューバーなどの共通UI要素をCMSで一括管理することで、ビジュアルデザインの統一性と使いやすさを向上させることができます。最近注目されている「デザインシステム」の導入にもCMSは非常に効果的です。
3. 組織と業務の一貫性
最後に、CMSは異なる部門間のコラボレーションを促進し、組織内の業務プロセスにおいても一貫性をもたらします。Webサイトやその他のデジタルチャネルを効果的に管理するためには、さまざまな専門家が連携する必要があります。例えば、マーケティング、クリエイティブ、IT部門がスムーズに連携できることで、ビジネス目標に沿ったコンテンツ制作や効率的な運用が可能となります。CMSを導入することで、業務プロセスが標準化され、各部門が自身の課題に集中できる環境が整います。その結果、異なるスキルセットを持つチームでも、整合性のある成果を生み出すことができます。
さらに、標準化のメリットは組織内にとどまりません。業務が標準化されることで、一部のプロセスを外部の専門業者にアウトソースしやすくなります。例えば、ページ制作業務の企画やレビューは内部で行い、実制作は外部の制作会社に委託するという役割分担が可能です。CMSを中心に、自社で対応すべきコア業務と、外部リソースを活用すべきノンコア業務を明確に区分し、Web運営業務の資源配分を最適化することができます。
このように「コンテンツ」「UI / UX」「組織と業務」の一貫性を実現することで、企業はWebサイトを通じて効果的なブランドコミュニケーションを展開し、顧客との信頼関係を強化することができるのです。これこそが、CMSの大きな価値だといえるでしょう。
CMSセミナーのご案内
企業向けCMSの最新動向を解説するオンラインセミナーを開催します。
次世代Web戦略のアイディアをお届けする「未来のための発信力」シリーズとして、Web担当者が今知りたいをフカボリ解説します。来期施策を検討中の方や、最新トレンドを把握したい方も、情報収集の一環としてお気軽にご参加ください。
- 第1回:10月9日(水)「未来のための発信力:CMS最新トレンド&選定ガイド」
- 第2回:11月12日(火)「未来のための発信力:ミツエーリンクスが Adobe Experience Manager を扱う理由とは?」
- 第3回:12月4日(水)「未来のための発信力:CMS刷新プロジェクトの勘所」
皆さまと一緒に、最新の知識と洞察を共有できることを楽しみにしています。
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。