CMMI、実践中間報告!(第1回)
取締役 IT事業部長 高田 淳志ソフトウェア開発の現場で広く認知され、浸透の進みつつある『CMMI(Capability Maturity Model Integration)』。実は、弊社もCMMIの”Level3”達成に向けた取り組みを今年年初から始めています。今回のコラムでは、これまでのコラムとは少々趣旨を変え、取り組みの中間報告という形で皆様に公開してみようと思います。
CMMIに取り組む理由
私達はこれまでに、ISO9001, ISO14001, BS7799・・・といった数々の認証を受けてきました。そして、今回はソフトウェア開発についてのCMMIへの挑戦。なぜ、そんなにも欲張るのか。私達には、全ての企業活動を「顧客満足」へつなげ、その活動を通して「社会貢献」をしていきたいという共通のビジョンがあります。ソフトウェア開発という活動においてそれらのビジョンを具現化していくためには何をすべきか。その答えが「よしっ、CMMIだっ!」というわけだったのです。
Level3達成に向けた挑戦の始まり
今回のCMMIへの取り組みの中では、これまで培ってきた自社のマネジメントシステムを、ソフトウェア開発にどう適用していけるかという点について客観的な意見・評価を受けるために、インドに本社を持つ、世界最高レベルの企業(既にCMM Level5に到達)からサポートを受けています。
先ず初めに、コンサルタントと私達で、現状とのギャップ分析を実施しました。これまで、現場では個人の判断に任せがちだった点など、多くの項目を改善エリアとして列挙していきました。「組織としての文書標準書式が整備されていない」「役割分担が不明瞭」「プロジェクト実績収集と実績再利用が弱い」など。今までのソフトウェア開発においてある程度の実績を踏んできたにも関わらず、多くの項目が挙がったのです。
しかし、Level3は『標準的な開発プロセスを数多く定義してあり、それを全社レベルで実施できる状態』。要するに、これまでのような個人の裁量に委ねたプロジェクト運営を排していく必要があるわけです。こうして、私達のCMMIへの取り組みの幕が開きました。
SPIプロジェクトの開始
幸いなことに弊社には、これまでに数々のマネジメントシステムに既に取り組んでいる実績と文化があり、そのお陰で、私達は新たなマネジメントシステムを構築するためのアプローチはそこから吸収することが出来ます。余計な事へ労力を割かず、今回のテーマであるSPI(Software Process Improvement)活動に専念するのみです。
2月中旬に入り、いよいよ各プロセスエリア担当者によるプロセス定義活動のスタートです。私は、このSPIプロジェクトのリーダーを担っていますが、私を含め各担当者は皆、普段はそれぞれの担当業務を従来通りこなし、それに加えてプロセス定義活動を行うという非常に厳しい体制とスケジュールを組んでいます(私達は、たった1年間程度でLevel3を達成しようと、そして出来ると本気で思っています)。が、担当者全員が、本当に同じ想いを共有出来ているだろうか、と不安になることもあります。
そして次のステップへ
そんな想いでこのコラムを書いている頃、ちょうど最初のマイルストーンである第1回社内レビューに向けたプロセス定義書の提出締め切りを迎えました。「Estimate Process」「Project Planning Process」「Life Cycle Process」「Configuration Management Process」「Contract Process」「Process & Product Quality Assurance」。全てのドキュメントが各担当者から早くも私の元に送られてきています。いつの間に完成させたのだろう、と思うくらいに通常業務が忙しい中での資料作成。高いモチベーションを持ったメンバーで構成されていることを改めて実感しました。
さて、次の難関はレビューです。各業務関係者代表により、定義したプロセスの詳細が確認され、コメントが持ち寄られます。
顧客により高い品質のサービスを、という想いは全社員共通。そのゴールに向かってお互い妥協せずにとことん突き詰めながら完成させていきたいと思います。
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