お客様の“ココロ”を動かすサイト作り
マーケティング本部 湯浅 紘也当たり前のことですが、Webに限らず、マーケティング活動とは多くの方に自社の商品を知っていただき、購入していただくことに尽きます。言い換えると、お客様に“買う”ための行動をしてもらうことであり、お客様の行動に目を向けることがマーケティング活動の本質です。お客様の“ココロ”に訴えかけ、興味を持っていただいた結果として、お客様は商品を購入するなどのアクションを起こすからです。
では、お客様の“ココロ”に訴えるサイトはどのように作ればいいのでしょうか?
マーケティングとユーザビリティ
お客様(企業のWeb担当者様)からサイト改善のお話をうかがう際によくいただくご要望が、大きく分けると下記2点のいずれか、または双方の集約です。
- 人が来ない、集客できるサイトにしたい。
- 使い勝手が悪い、使い勝手を良くしてコンバージョンにつなげたい。
確かに集客力が上がって使い勝手がよくなれば、これまで以上にコンバージョンが増えるはずです。しかし、このくだりには前段にあった「買っていただくためにお客様の“ココロ”に訴える」ための検討が含まれていません。
集客や使い勝手の改善は我々が得意とするところであり、そのための改善や測定手法を数多く持っています。これは、サイトを訪れたお客様を迷うことなく目的の情報にたどり着かせることでお客様の“不満をなくす”ことが目的です。対してお客様の“ココロ”を動かす、魅力ある情報をどのように作っていくかは、企業のコミュニケーション戦略に依存する部分が大きいのではないでしょうか。
マーケティングとユーザビリティはそれぞれが補完しあい、Webサイトをドライヴする両輪とならなければならず、ユーザビリティだけではある一定の満足度を提供できるだけで“ココロ”まで動かすことはできません。
お客様の行動に目を向ける=ユーザーの行動を分解して考えること
小坂祐司氏は、貴著「そうそう、これが欲しかった!感性価値を創るマーケティング」の中で、お客様の感性消費行動デザインを、以下のように段階的に検討されています。
- ステップ1 お客さんの行動を分解する
- ステップ2 仮の行動モデルを作る
- ステップ3 動機付け策をプロットする
- ステップ4 行動を計測(観察)する
- ステップ5 デザインを修正する
- ステップ6 デザインを標準化し、展開する
この著書の中では“お客さんの行動を分解する”ことを最初のステップにおいています。確かにサイトのゴールは“アクションを起こしてもらう”事に尽きますが、それだけではどのように“ココロ”を動かせばよいか対策を講じられないからだと述べられています。
また、同様にユーザーにとって使いやすいコンピューターインタラクティブシステム(ここではWebサイトとして定義)設計の指針である人間中心設計の国際規格ISO13407でも同様で、最初に“利用の状況の把握と明示”というプロセスが定義されています。
人間中心設計の必要性の特定
- 利用の状況の把握と明示
- ユーザーと組織の要求事項の明示
- 設計による解決案の作成
- 要求事項に対する設計の評価
ISO13407:インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス(Human-centred design processes for interactive systems)
一例として、仮に会社である製品の導入を検討している情報システム部のAさんの行動を分解してみると
- 役員から経営課題を改善するように言われる
- 周りの人(同僚)にトレンド事情やアイディアを求める
- 周りの人から得られた情報を元に検索サイトで製品を探す
- 自社に導入可能かどうかを調べる
- 類似するケースを探す
- 営業を呼んで話を聞く
- 役員に検討結果を報告するための比較資料を作る
- 提案依頼書を作成し、数社に声をかける
- 検討し、不足している情報があればサイトで調べる
- どの会社を選定するかを決定する
上記のように簡単に行動を分解してみても、どのタイミングでなにを求めてサイトにやってくるかが推測できます。
このような検討プロセスにおいて、次のプロセスにお客様を導くために、「迷って進めない」ことのないように(ユーザビリティ)、「“ココロ”が動かず進まない」ことのないように(マーケティング)、様々なデータに基づき仮説検証を繰り返しながら最適解を見つけ出していかなければなりません。
ミツエーリンクスでの取り組み
私の所属するマーケティング本部は、マーケティング、ユーザビリティ、アクセス解析、さらにはエディトリアルの4部門を有し、それぞれが
- プランニング
- ユーザビリティ診断、ユーザーテスト、インタビュー
- ログ解析、リスティング広告
- コンテンツ企画、ライティング
という専門分野を持ちつつ、連携しあい顧客満足を高めるWebサイトをご提案、ご提供するための活動をしています。
非常にユニークな体制であるように見えますが、これは“顧客満足を高めるWebサイト”を考えていく上で理にかなった体制であるといえます。顧客分析に基づくプランニング、具体的なコンテンツや機能の企画〜制作、効果測定までを一連のソリューションとしてご提供できることが特徴です。
昨年7月には新たなリモート・ユーザビリティテスト「UserWhiz」も加わりました。お客様にとって使いやすく、“ココロ”を動かせるWebプロデュースの実現に向けて、さらなる高みを目指して今後も尽力してまいります。
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