WebをもっとWebらしくデザインする時代へ
取締役 木達 一仁2012年の最終営業日を迎えました。この数年、「年末のご挨拶」というお決まりのタイトルでコラムを書かせていただくことが多かったのですが、今年は少し趣向を変え、私個人の1年間の主な取り組みを振り返ってみたいと思います。キーワードを挙げるなら、レスポンシブWebデザインとアクセシビリティの二つになります。
レスポンシブWebデザインについては、その考え方を当社のサイトに導入のうえ公開したのが今年の2月24日(「当社Webサイトをリニューアル」参照)。顧客向けにもこれをサービス化、2カ月後には「レスポンシブWebデザインの提供を本格化」というニュースリリースを発行しています。また5月25日の第1回を皮切りに、レスポンシブWebデザイン入門セミナーは都合8回を開催。つい先日、12月8日開催の仙台オフィス開設記念セミナーでも、「レスポンシブWebデザインのこれから」という講演を行いました。社外向けにも、6月30日のFirefox Developers Conference 2012 in Osakaにて、「ミツエーリンクス 自社サイトの取り組み」と題しレスポンシブWebデザインのお話をさせていただきました。
一連の取り組みを通じ、もはや特定のデバイス(のユーザー)だけをターゲットとしてWebサイトをデザインすべき時代ではなく、さまざまなデバイスに対応するための選択肢の一つにレスポンシブWebデザインという考え方がある、といったことをお伝えしてきました。元来、Webサイトとは単一のサイズのスクリーンで表示させるものではありませんし、さまざまなデバイスで利用できてこそのWebサイトであるはずです。しかし、昨今のスマートフォン/タブレット型デバイスの普及と、それを背景として比較的新しいWeb標準(HTML5、CSS3等)を活用するための環境が充実し始めたことをうけ、Webデザインの考え方や手法も少なからず変化してきました。その象徴として今年注目を浴びたのが、レスポンシブWebデザインという考え方、テクニックであったと自分は理解しています。
アクセシビリティについては、規格(WCAG 2.0、JIS X 8341-3:2010等)周りに大きな動きが無いためか、Web業界を見渡すと取り組みは年々下火になりつつある印象があります。しかし、Webを使うユーザーは多様化しながらも増加の一途をたどっており、また上述のとおりWebへのアクセスに用いられるデバイスもまた多様化のスピードを速めています。そうした環境変化を踏まえるなら、Webサイトが「使いやすいかどうか」以前に「使うことが可能かどうか」というレベルの品質、すなわちアクセシビリティの確保はますます重視すべきであり、今まで以上に取り組みを強化する必要があると考えます。
そのような認識のもと、従来のアクセシビリティ検品の取り組み(2010年1月29日発行のニュースリリース「ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン (WCAG) 2.0への標準対応の開始について」参照)に加え、新興デバイスを用いたアクセシビリティ検証環境の整備を指示、モバイルアクセシビリティ対応を強化してきました。また、あいにく自分は同行するはずが参加できなかったのですが、今年も世界最大級のアクセシビリティ関連イベント・ CSUN にスタッフを派遣しましたし、CEATECへのブース出展も昨年に引き続き実施。そして、先月の新人事により副委員長を拝命したウェブアクセシビリティ基盤委員会では、作業部会1(理解と普及)と作業部会2(実装)のメンバーとして、JIS規格ならびにWebアクセシビリティの普及・啓蒙に取り組んできました。
2009年12月28日公開のコラム「年末のご挨拶」のなかで、私は以下のように書いています。
ケータイの進化やスマートフォンの普及状況を鑑みますと、同じURLにあるWebコンテンツを、表示こそ違えどデスクトップPCからもモバイル機器からも(究極的にはどんなハードウェアからでも)利用しやすくするという要件は、遠からず全てのサイトに求められるようになると思います。
2012年という年は、モバイルデバイスと親和性の高いソーシャルメディアの普及と相まって、上記にあるような状況が広く一般化し始めた年との印象があります。来る2013年において、その傾向には一層の拍車がかかり、マルチデバイス対応(レスポンシブWebデザイン含む)とアクセシビリティ対応の両者は、Webらしさを体現するうえで必須となるでしょう。もちろん「Webらしさ」にもさまざまあって、時代と共に変化するような流行り廃りのある「Webらしさ」もありますが、私の意図する「Webらしさ」とは、そもそもWebをWebたらしめる「Webらしさ」であり、誰でもどんなデバイスを使っても利用できるという状態を指します。
WebをもっとWebらしくデザインできるよう、当社は来年も尽力してまいります。
引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
年始の営業は1月4日からとさせていただきます。
良い新年をお迎えください。
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