ユーザーの声を取り入れたサイト改善とは
第一事業部第二本部(UX) UXリサーチャー 亀山 明佳みなさんはWebサイトやアプリを使っていて目的が達成できないような経験をしたことはありませんか?
私は数日前、とあるWebサイトでチケットを購入しようとしていました。そのWebサイトは見た目上、デザインもすっきりしており、目的のチケットの購入まで問題なく進むことができました。しかし、次の日、チケットの日時を確認しようと再度サイトを訪れたところ、実はまだ最終的な購入までは進んでいなかったことが判明し、危うく自動キャンセルになりそうな経験をしました。
昨今、マルチデバイス対応強化、UX指向のデザインへの関心の高まりを受け、Webサイトやアプリの見やすさやマウス操作・タッチ操作など、基本的な操作性・ユーザビリティについては、全体的な底上げがなされています。しかしながら、一見「よさそうなデザイン」に見えるWebサイトやアプリが、実際に使ってみると、重大なエラーを引き起こす・思い通りに目的を達成できない・微妙な使い勝手にイライラするため使い続けたくなくなる、などといった大小さまざまなユーザビリティ問題を抱えている状況は依然として残っていると感じることが多々あります。
ユーザーの声から問題を捉えるということ
そのようなユーザビリティ問題を解決するために、近年では、ユーザビリティテストなど、ユーザーの声を取り入れたサイト改善を実施する企業様も増えてきていますが、なかなか効果的な改善へ繋がらなかったという状況をよく耳にします。
ユーザーの声を取り入れているにも関わらず、なぜユーザビリティが向上しないのでしょうか。その大きな原因の1つとして、ユーザーの言動を「直接的」にのみ捉えて、そのまま改善施策を検討してしまうというアプローチの問題があると考えています。
では「ユーザー声を直接的にのみ捉えてしまう」とはどういうことでしょうか。ここで、とあるサービスの申し込みサイトにおけるユーザビリティテストを例にとって考えてみます。
そのサイトでは、Aプラン、Bプラン、Cプランという3種類のサービスがあり、各サービスに関する詳細情報はタブを選択することで閲覧できるデザインになっているとします。ユーザーには、自分の目的・ニーズに合ったサービスを1つ選んで申し込みをしてもらいます。その操作を行ってもらった後、仮に以下のようなユーザーの発言があったとします。
「サービスの選択はタブ切り替えじゃないほうが見やすいと思う」
この発言を聞いていたサイト担当者は、ユーザーの意見を直接的に受け入れて「タブ切り替えをやめて、ボタンとして上下に配置するデザインに変更しよう」という改善を講じようとします。
しかし、実際のユーザー行動をよく観察してみると、3つのタブを行ったり来たりしながら何かを確認しているようでした。詳しく話を聞いてみると、3つのサービス内容を比較するために、各タブの中に点在する情報を集めていたというのがその行動の理由となるのですが、ユーザーの頭の中には、タブを何度も操作してなんとなく面倒だったという記憶が大きく残っているため、発言としては「タブ切り替えじゃないほうがよい」になってしまったのです。
つまり、サービスの詳細情報がタブ切り替えになっていたこと自体が問題なのではなく、各サービスの概要・対象条件・料金などの違いを分かりやすく・効率的に比較できないことが本質的な問題であったということになります。
セミナー開催のご案内
「ユーザーの声を取り入れたサイト改善とは」どういうことか。
目の当たりにする「ユーザーの声」というのは非常にインパクトが強いため、発言自体をどうしても直接的に捉えがちになってしまいますが、その裏側にあるユーザーの心理・背景をしっかりと分析・考察していくことにより、本質的な問題解決につながると私は考えています。
また、実現可能な具体的な施策に落とし込んでいくためには、UXの専門家のみで考えるのではなく、サイト改善に関わるお客様・Webサイト担当者様と一緒にユーザー理解を深める議論ができるようになることが必要不可欠だと思っています。
本コラムでお話したようなサイト改善の実践方法につきまして、年明け1月18日に「サイト評価からUX/UI改善の実践方法」と題したセミナーを弊社にて開催いたします。
- ユーザビリティテストなどから分かったユーザー言動のデータをどう扱うのか
- ユーザー言動の真意や背景はどう捉えていけばよいのか
- そこからどのように施策を考えデザインへ繋げていけばよいのか
といったポイントを踏まえ、具体的な事例を用いながら分かりやすくお伝えできればと思っています。ユーザーにとって最適な解を提供するサイト改善とは何かを一緒に考えてみませんか。
お忙しい時期とは存じますが、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げます。
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