「スクリーンリーダー検証」「スクリーンリーダー トレーニング」サービスの提供を開始
アクセシビリティ・エンジニア 大塚 勇哉当社では先日、スクリーンリーダーに関連した2つのサービス「スクリーンリーダー検証」および「スクリーンリーダー トレーニング」の提供を開始しました。本コラムでは、サービス名にもなっているスクリーンリーダー、およびそれぞれのサービスの概要についてお伝えします。
本題へと移る前に、私自身コラムでの執筆が初めてということもあり、簡単に自己紹介をしたいと思います。私は先天性(生まれつき)の視覚障害があり、全盲です。業務や日常生活では、後述のスクリーンリーダーを利用してPCやスマートフォンを操作しています。
業務では、アクセシビリティBlogの執筆、社外向けセミナーへの登壇といったアクセシビリティの啓発や、スクリーンリーダーを使ったWebサイトやモバイルアプリの調査、その他、お客様の窓口業務などを行っています。前述のとおり、日常的にスクリーンリーダーを利用していることから、両サービスについても担当します。
スクリーンリーダーとは
Webアクセシビリティの文脈で語られることの多いスクリーンリーダーとは、そもそもどういったものなのでしょうか。スクリーンリーダーは、PCやスマートフォンの画面に表示された内容を音声で読み上げるソフトウェアの総称です。
主に、画面を見ることが困難であったり、負担のある全盲や弱視のユーザーが利用します。メーラーやオフィス系ソフトといったデスクトップアプリケーションと組み合わせて利用したり、ブラウザと組み合わせて、Webコンテンツを閲覧したりできます。
ただ、一口にスクリーンリーダーといっても、OSごとにいくつかの種類が存在しており、特徴もさまざまです。スクリーンリーダーそのものについては広く知られつつありますが、Webコンテンツに対するスクリーンリーダーごとの読み上げ方の違いや、アクセシビリティ上の問題が発生した際の具体的な影響や修正方法については、知られていない点も多いのではないでしょうか。
そうした、スクリーンリーダーについての踏み込んだ情報をお伝えするのが、今回リリースした2つのサービスです。
スクリーンリーダーに関連した2つのサービス
それぞれのサービスは、スクリーンリーダーを扱うという点では同じですが、対象や提供内容に違いがあります。
スクリーンリーダー検証
「スクリーンリーダー検証」サービスでは、Webコンテンツをスクリーンリーダーで読み上げ、アクセシビリティ、もしくはユーザビリティ上の問題の有無を検証します。具体的には、情報の取得やフォームへの入力、商品購入といった特定の目的が達成できることを確認します。
問題点が見つかった場合、該当箇所と、HTMLやCSSを確認し、考えられる解決策を取りまとめたレポートを提供するほか、スクリーンリーダーでWebサイトを閲覧した際の録音/録画データを提供します。録音/録画データにより、スクリーンリーダーが問題箇所をどのように読み上げているのかを確認できます。
あわせて、スクリーンリーダーで情報を取得したり、特定のタスクを実施したりする一連の流れも確認いただけます。本サービスは、Webサイト運用管理者を対象としており、担当Webサイトで発生している問題の制作者への共有、Webアクセシビリティ向上の取り組みを進めるにあたっての現状把握の一環などに利用いただきたいサービスです。
スクリーンリーダー トレーニング
「スクリーンリーダー トレーニング」サービスでは、スクリーンリーダーにフォーカスした複数回のトレーニングを提供します。スクリーンリーダーの概要や特徴といった基本的な内容から、HTMLやCSSが読み上げに与える影響、スクリーンリーダー利用時に発生する代表的な問題の修正方法まで、幅広い内容を扱います。
また、講義形式のトレーニングに加え、スクリーンリーダーの動作や読み上げを体験できるハンズオンを実施するため、実践的に理解を深めることができます。オンライン形式、かつ少人数(最大10人程度)での実施のため、場所を問わず参加でき、内容がわからず取り残される心配もありません。
本サービスはWebサイト制作担当者を対象としており、アクセシビリティの改善を検討している方や、スクリーンリーダーの使用経験が少なく、詳しい使用方法を知りたい方に利用いただきたいサービスです。
おわりに
スクリーンリーダーは、あくまで多様なWebの閲覧環境の1つでしかありませんが、Webアクセシビリティについての問題が発生した際、とくに影響を受けやすい環境でもあります。スクリーンリーダーを活用したWebアクセシビリティの向上や、スクリーンリーダーに関する知識をWebアクセシビリティ改善に役立てたいとお考えの方、お気軽にお問い合わせください。
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